1. 事業フィールド
  2. Project story01:必須プロモーションツールで“新規設立法人”を救う

Project story 01
必須プロモーションツールで“新規設立法人”を救う

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Prologue

リスペクトのマーケティング支援は、中小企業を主なクライアントとしている。そこにこだわる理由は、全国で400万を超える会社の99%以上が中小企業であり、世の中に存在する“良いもの”の多くが中小企業によってつくられているからだ。まだリスペクトがアプローチしていない新しい市場で、しかも自社サービスの強みを活かしつつ中小企業を支援できる方法はないだろうか。新規設立法人支援事業は、ひとりの社員の想いが形となった事業だった。


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Project leader

Initial E

経営企画部門でキャリアをスタート。マーケティング支援事業に携わり始めた頃から、中小企業を支援したいと考えるようになる。入社から半年足らずで、支援の対象を新規設立法人に特化させたプロジェクトを考案。


Chapter01
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新規設立法人の力になりたい

経営企画のEは、中小企業の支援にこだわるリスペクトの考えに共感して入社した社員のひとりだ。新卒で何の経験も持っていなかったが、すぐにでも自分も中小企業の力になりたいと思っていた。
リスペクトはコンサルティングとクリエイティブに強みを持っている会社だが、コンサルティングもクリエイティブもクライアントの課題によって提供する課題解決法はさまざまで、クライアントはそもそもリスペクトに“何ができるのか”を知らない。Eは、自社のサービスを伝えつつ中小企業を支援したいと考えていた。では、リスペクトのサービスを必要としているのはどんな企業だろうか。マーケティングチームにアドバイスをもらいつつ行き着いた答えが、「新規設立法人」だった。
日本では年間に10万以上の法人が開業しているが、それ以上に多くの会社が倒産している。なかでも新設法人は、その3~4割が1年以内に廃業するといわれており、それが3年になると廃業率は約7割まで上昇するという。多くの中小企業が誕生しては消えていくのが日本の現状だ。それを知ったEは、新設法人に特化した支援を行いたいと思った。“良いもの”を生み出す可能性を持った新設法人が日の目を見ることなく潰れていくのは、実にもったいない。リスペクトができるサービスを一冊のカタログにまとめ、新設法人に伝えようと、Eは考えたのだった。

E
普段の生活でも感じることだと思いますけど、数年と保たずに廃業になる会社やお店は珍しくないというか、むしろ多いですよね? その理由って、新設法人には必要なものがたくさんあるのに、それを用意・実践していないからなんです。何を置いてもまずは売上を確保することが重要で、会社を維持するために、事業を軌道に乗せるためには稼ぎ続けるという意識を持たなければいけません。さらに、商品やサービスを売るためのツールや資料の選択、ほかにも消費者やクライアントから信頼を得るためのツールづくりなんてのも欠かせません。だから、新しくできた会社を支援するという市場は絶対にあると思いました。

Chapter02
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ノウハウも市場も、間違いなくあった

マーケティング支援事業では自社だけでなく、他社の新規事業創設も数多く経験してきたのがリスペクトだ。もちろん、新しい会社から事業立ち上げの支援を依頼されることも多かった。リスペクトには培ってきたノウハウがあり、新設法人に必要なものを熟知していることをEは知っていた。それを活かさない手はない。
通常、ターゲティングはすればするほど接触する方法も限られてしまい、アプローチが難しくなる。しかし幸いなことに、新設法人は必ず登記簿情報として法務局に届け出がされている。第一関門である市場開拓が容易ということだ。これは、新たな収益源を探していたリスペクトにとっても、市場開拓コストのかからない好都合な事業に思えた。
Eは膨大な量の資料の読み込みと取材を開始した。自分はまだまだ素人のようなものだが、できることはすべて自分でやりたいと思った。リスペクトにはプロのライターが在籍しているが、カタログに掲載する原稿は自分で書きたいと願い出た。とにかく走りながら多くを吸収しなければならなかった。
「こういうコピーじゃないと」
「ウリはそこではないと思うな」
「まずは封を開けてもらう工夫が必要だよね」
先輩たちにアドバイスをもらいながら、何度も何度も書き直した。フィードバックしてもらい学んだことを反映すると、自分の文章がどんどん良くなっていくのがわかった。
しかし、Eは新人だ。志は高くても経験がない。クリエイターに指示を出す立場なのに、Eには「クオリティが高い」という状態の判断が付かなかったのだ。原稿はスキルを磨けばある程度のレベルまで持っていくことはできたが、経験に裏付けされる部分はどうしようもなかった。つくり直すうちに時間は削られていく一方だ。自分でやり遂げたいが、想いと実力が乖離していた。Eは苦しんだが、それでももがいた。

E
経験と呼べるようなものは何も持っていなかったので、プロジェクトの提案が採用されたときは驚いたし、正直戸惑いました。「私の案でほんとにいいのかな?」って思ったし、代表にも「やるからには失敗は許されない。その覚悟はあるか?」って聞かれました。不安でしたけど、やっぱり「やりたい」っていう気持ちが大きくて、それを伝えたらしっかり受け止めてくれて、そのことが素直にうれしくて、だからこそ最後まで責任を持ってやり通そうと思えました。
プロジェクトがスタートしてからは社内のいろいろな人を巻き込んで、ちゃんと納得してもらって、支えてもらいながら猛勉強しました。しんどかったけど、その先にあるものを想像すると、なんだか楽しかったです。「これだけやったら十分だろう」って思えるところまで頑張りました。

Chapter03
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幕を閉じた最初の挑戦

中身は夢に出るほど頭に焼き付いた内容のはずなのに、完成したカタログを見て、Eは素直に感動した。自分に及ばなかった部分も、さまざまな人がそれぞれの専門性を駆使して協力してくれたおかげで、何とか形にすることができた。
30ページに及ぶカタログを作成したEは、やり遂げることの達成感を味わった。新卒でキャリアのない新人が主導的に動き、プロジェクトをここまで進行させたのだ。そのことだけでも十分評価に値する出来事だった。
プロジェクトの提案から半年後、新規設立法人に必要なリスペクトのサービスをまとめたカタログを、ついに発送した。方針としては、毎月カタログを配送し、新設法人が見せるアクションからノウハウを蓄積し、ブラッシュアップを繰り返すというものだ。きっとたくさんの依頼が舞い込むはず。Eはワクワクしていた。初めての受注は企業のロゴと名刺の制作。大きな金額ではなかったが、プロジェクトに携わった全メンバーが喜んだ。
しかしEは、すぐに悔しがることになった。DMはすぐに反応があるプロモーションツールだ。多額の費用をかけてここまで進めてきたが、カタログの発送から1ヶ月で、売上は当初予測の10分の1にも満たない額から動かなくなった。リスペクトにとってのその額は、大赤字に分類される損失だった。
投資を回収する仮説と検証が甘かったのだ。あとから考えれば、同封広告の営業をしなかったことや、新設法人に刺さるためのパッケージングの詰めの甘さなど、失敗の原因となることはいくらでもあった。第二陣のカタログを送る準備はすでに整っていたが、当然、発送されることはなかった。

E
新設法人には必要なツールがたくさんあります。たとえば名刺やロゴマーク、会社案内、ダイレクトメール、挨拶状、看板、ホームページ――。どういうデザインで、どういう意図を持ってつくるかが問題だし、それぞれのツールにはそれぞれ違った意味があります。カタログに掲載したのは、そうしたツールが果たす役割についてでした。
だから、今思えば敗因は明らかなんです。カタログには“そもそもなぜツールが必要なのか”を書いていませんでした。「ツールのデザインはうちがやりますよ!」「このツールにはこういう効果がありますよ!」っていうことばかりを前面に押し出して、その前提だったはずの、「新設法人には知識がない」という部分を軽視していたんです。せっかく生まれた新しい会社が潰れないように何とかしなくちゃ、っていう思いが先行して、大事な部分を見落としていました。「とりあえずこのツール使えば大丈夫だから! ほら!」みたいな。今だから笑って言えますけど、当時は家に帰って号泣しました(笑)
でも、この失敗があったからこそ、いろいろなことを学ぶことができたと思っています。自分発信でプロジェクトを立ち上げる責任の大きさや調査の難しさや、社内のあらゆる人たちを巻き込んで協力してもらうことの大変さ、進むたびに複雑になるプロジェクトを引っ張るためには心が強くなければいけないことなどなど。ほかにもありますけど、本当に成長させてもらった機会だったなと感じています。

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Epilogue

結局、Eから始まった「新規設立法人支援」は、リスペクトの事業領域からその名を消した。しかし、失敗がもたらした恩恵は大きかった。Eだけでなく、リスペクトとしてもDMの難しさや品質向上の策、ターゲティングなどに関する知見を得られた機会となった。クライアントに必要なものを、必要であると認識させる方法も見えるようになった。
このときの失敗は、「人材戦略・採用支援事業」で進行中のフリーペーパープロジェクトにも糧として存分に活きている。いや、このときの失敗がなければ、フリーペーパーに勝算を見出すことはできなかったかもしれない。
新人の大きな失敗は、たしかに大きな損失だった。しかしそれは、リスペクトの新たな事業を成功させるための、大きな鍵となり得る。新設法人支援での敗北を目の当たりにし、現在フリーペーパープロジェクトに携わっているすべての社員が、その可能性の大きさを確信している。

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