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情報を やさしく。

ライター・エディター

東海林 久太 Hisahiro Tokairini

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責任の大きさを楽しむ

文章は誰にでも書ける。日本語の使い方を間違えることなく、文構造を破綻させることなく書ける人も、きっと世の中にはたくさんいる。しかし、「読み手に伝わるだろうか?」と常に自問しながら書く人はそう多くないはずだ。
ライターの仕事を端的に表現することは非常に難しく、限定的な表現を用いてしまえばそれこそ致命的な誤解を招くことになりそうだが、強いていえば“情報をやさしく伝えること”であると、東海林は思う。

リスペクトはさまざまな業界のクライアントにサービスを提供している会社だ。ゆえに、扱うジャンルもビジネス、人事、医療、美容、自動車、金融など多岐にわたる。つまり、クライアントが属す業界や抱える課題をスピーディーかつ正確に、深く理解しなければならない。

「クライアントと同等のレベルまで理解を深めないと、読者にやさしい情報なんて書けません。だから勉強するしかないんです。キツいと思うこともありますが、日々新しい情報に触れられるので楽しくもあります。知識の宛先が不明な学校の受験勉強と違って、誰かの目に届けるためにやっているので、やりがいもあります」

ただし、誰かの目に届いたとしても、心に刺さらなければ意味がない。「役に立たない」「おもしろくない」と読者に判断されれば、その文章はネットの海に埋もれるか、ゴミ箱行きだ。だから、心に刺すための工夫を施す必要がある。
ライターは読者が欲する情報をやさしく伝えなければならないが、「そもそも欲している情報とは何か」に五感を研ぎ澄まし、探し、掘り起こし、再構築し、つなぎ合わせ、最適な形に整えて届けなければならない。ここでいう“欲する”には、当然、ターゲットである読者の潜在的欲求も含まれる。

すでにニーズとして一般化している事象を記事にしても、それはただの二次コンテンツでしかない。読者の内に眠る潜在的欲求を読者自身に気づかせ、ひとつの大きな潮流として顕在化させることにこそ意義がある。
リスペクトは「@人事」などのオウンドメディアも運営する会社だ。遍在する知識を役立つ情報として付加価値を与える「編集者」の仕事も任されている。ライターとエディターの仕事に境界線を引かずに働けるチャンスと、成長できる環境がある。
その代わり、責任も役割も大きいし、それぞれの領域のプロフェッショナルでなければならない。だから楽しいのだと、東海林はいう。

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書くことが好きなだけでは務まらない

何かをつくる仕事に就きたい。漠然とそう考えて、浪人してまで入った大学を辞めた。しかし、自分に何ができるとも思えなかった。いろいろな未来を想像してみたが、どれも実現できそうになかった。
東海林が小説家を目指す道を選んだのは、消去法によるものだ。ポジティブな理由を挙げるとすれば、「文章なら書けそうだ」と思ったから。それだけだ。
当然、小説の書き方を学ぶために入り直した大学では苦労した。講義の合間に鞄から文庫本を取り出し、読みふける学生たちを見て、焦った。自分の鞄の中を覗き込んで、「しまった、家に置いてきちまったぜ」という顔をするしかなかった。

「何も考えていないバカでした。でも悔しかったので、そこからあらゆるジャンルの小説を読み漁りました。で、いざ読んでみると面白かったんです。それからは文庫本の2冊持ちを習慣化しました。電車などで移動するとき用の短編集と、喫茶店に入ったとき用の長編。読むことが好きになると、やっぱり書きたくなってくるんですよね」

小説に限らず、論文、批評、紀行文、エッセイ、詩、児童文学など、あらゆるジャンルの文章を書いてみたくなって、実際に書いた。共通して心がけたのは、正しい日本語で、適切な語順で、リズムよく読めるように書くこと。現在のライター業務でも、東海林はこれを基本姿勢と定めている。
どんなに自分がおもしろいと思って書いた小説でも、読者の心に響かなければ小説家としては自称の域を出ない。それと同じように、どんなに有益な情報を持っていたとしても、それを読者に伝わるやさしい情報に変換できなければ、価値を付与できなければ、ライターとして三流だ。

「きちんと伝えなければならない」「深く響かせなければならない」という意味では小説家もライターも同様だが、やはり物書きとしての両者の性格は異なる。小説には作者の思考がアイディアとして如実に反映されるが、純粋な情報の伝達を目的とするライター――特にクライアントの課題解決を使命とするリスペクトのライターは、独善的な己を殺さなければならない。もちろん手段として筆者の思考を反映することもあるし、メディア運営においてはブランド力を高めるひとつの戦略にもなり得るが、そこには情報の価値を薄める危険性が潜んでいる。

ライターは「文章を書くこと」が好きなだけでは務まらない。ある事柄を言語化しようとするとき、人は自己のバックグラウンドに基づく「自分にとっての常識」に頼りがちだ。それを押し付ければ読者はストレスを感じ、読み進めることを放棄する。この事態を防ぐためには、あるいは共感を得るためには、常に読者の目線に立ち、その心情を想い、自らの常識を疑い続けなければならない。
だから、書くこと、読むこと、知ること、伝えることのすべてを含めた「文章そのもの」が好きでなければ、ライターは務まらない。東海林はそう考えている。

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リスペクトのライターとして

東海林が携わる案件のひとつに、医療関係者を対象としたWebマガジンサイトの運営がある。日々の情報収集はもちろん、企画の考案、クライアントとの編集会議の実施、取材、原稿制作、編集など、社内外のライターの力を借りながら、自らもライター・エディターとして一連の業務を担当している。

クライアントのメディアを担当する責任はとてつもなく大きい。下手をすれば先方の顔に泥を塗る恐れすらある、失敗の許されない仕事だ。
しかし、そうはいっても保守的ではメディアが生き残れない。立ち上げから間もないころは固定読者が少なく、競合媒体との差別化を図るため、独自性を打ち出すために「攻める」必要があった。
そこで東海林が提案したのが、従来のアップトレンド系やお役立ち系、速報ニュース系とは一線を画す“読み物系”記事の企画だった。

「企画書は当然のように突き返されました。作家の方に依頼して書いてもらう企画なら反応は違ったと思いますけど、『編集部で内製する』といわれたら、たしかにクライアントとしては不安ですよね。ただ、折れるつもりはありませんでした」

きっとおもしろい記事になる。東海林には自信があった。その時点ではまだ埋もれていた、新たな価値を付与できるであろう情報を発見したのだ。うまく編めば、必ず刺さる。あらかじめターゲットの潜在的欲求にもとづき設定していたペルソナの志向と照らし合わせ、そう確信した。
何度も提案とブラッシュアップを繰り返した結果、企画は通った。半ばクライアントが折れる形ではあったが、だからこそ生半可な気持ちでは臨めないと思った。制作には相当な気合が入ったと東海林は振り返る。
そうして公開された記事は、同メディアで最大の「いいね!」数を獲得する記事に化けた。その後もシリーズとして連載が実現し、メディアの知名度向上に寄与することができた。

「小説を勉強していたころに得た知識を存分に生かせました。いざ書き始めてみると苦労しましたが、読み物系はいつかやってみたいと思っていたので、純粋に楽しかったです。自分はクリエイティブな仕事をしているのだと改めて実感しました」

クライアントの「こうしてくれ」という要望にただ応えるだけではつまらないし、介在する価値はない。もちろん、メディアのカラーやターゲットの志向から外れないことは企画を立てるうえでの絶対条件だし、言い回しの調整や表現の取捨選択といった文章のテイストに対する微細な配慮も必要だ。
見方によっては、これらはクリエイティビティを発揮するうえでの「制限」といえるかもしれないし、ある人は「自由度が低い」と捉えるかもしれない。
しかし、「制限は想像の母」である。東海林は、こうした条件下だからこそ、クリエイティビティが発揮されると考える。無論、「情報をやさしく伝える」ことを意識しながら。
この状況に身を置くことを嫌うのであれば、プロではない。それを受け入れてこそ、望んでこその、リスペクトのライターなのだ。東海林は、そう信じている。

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Message

小説家、詩人、随筆家、新聞記者、ブロガー……物書きにはさまざまなスタイル、スタンスがありますが、幅広く“誰かのためになる”文章を書けるという意味でいえば、リスペクトのライター業務は何ひとつその例に漏れません。
文章スキルはもちろん、地道にインプット作業を行う根気強さも必要だし、クライアントとの折衝や取材現場では、コミュニケーション能力や空気を読む力も求められます。
苦労もありますが、自分が担当した記事を読んでくれた読者の「勉強になった」「おもしろかった」という声を聞くと、「がんばってよかった」って思えるんです。
入社してそう遠くないうちに、文章に対する自分の“こだわり”を曲げなければならない瞬間が来ます。そこを乗り越えられる覚悟があるかどうか。「誰かのための文章」を書くことの役割を、理解してほしいと思います。

Profile

東海林 久太 Hisahiro Tokairin
座右の銘
ひとつの指針に縛られると何かに
踏み出せないこともありそうなので、
そういうのは特にないです。
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